リレー小説『群青の月』 第一回 担当:黒石
駅の改札を出ると雨は上がっていた。彼は差そうと思っていたビニール傘をたたみ、いつも利用する喫煙スペースに行くと煙草に火をつけた。ゆっくりと煙を吸い込み、吐き出す。煙が夜風に揺られて闇に溶けていく。ひんやりと湿気を含んだ空気が肌に心地いい。
週末だ。駅前には深夜になっても多くの人影があった。よっぱらって居酒屋の入口にたむろして騒ぐ学生が遠目からも見える。喫煙スペースには彼と同い年ぐらいの男が煙草を吸いながら電話をしていた。なにか小さな声で言い合っているようだったが、内容まではわからない。彼は煙草を吸い終わると帰途についた。
帰り道にさびれたコインパーキングがある。毎日のように横切っているが車がとまっているのを見た事がない。しかし今日、そこを通ったとき彼はぎょっとした。駐車スペースの隅の壁に頭をつけて女が座りこんでいる。白いワンピースに長い黒髪の女性だ。壁を向いているためこちらから顔は見えない。
週末だ。駅前には深夜になっても多くの人影があった。よっぱらって居酒屋の入口にたむろして騒ぐ学生が遠目からも見える。喫煙スペースには彼と同い年ぐらいの男が煙草を吸いながら電話をしていた。なにか小さな声で言い合っているようだったが、内容まではわからない。彼は煙草を吸い終わると帰途についた。
帰り道にさびれたコインパーキングがある。毎日のように横切っているが車がとまっているのを見た事がない。しかし今日、そこを通ったとき彼はぎょっとした。駐車スペースの隅の壁に頭をつけて女が座りこんでいる。白いワンピースに長い黒髪の女性だ。壁を向いているためこちらから顔は見えない。
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